脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症は動脈硬化が進む原因になります

脂質異常症は、通常自覚症状は全くなく、この病名を告げられてもあまり実感がないかと思います。しかし、血中の脂質と呼ばれるコレステロールや中性脂肪が異常に高い状態を放置しておくと動脈硬化症が進んで、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高くなるため治療が必要になります。

脂質異常症の検査と診断

空腹時の採血(通常10時間以上の絶食を前提として、午前中絶食で採血)にて診断します。診断基準は表のとおりです。

高LDLコレステロール血症
LDLコレステロール140mg/dL以上
境界域高LDLコレステロール血症
LDLコレステロール120~139mg/dL
高トリグリセライド血症
トリグリセライド150mg/dL以上
低HDLコレステロール血症
HDLコレステロール40mg/dL未満

LDL(悪玉コレステロール)の測定方法

LDLコレステロールは直接測定法、またはFriedewaldの式*から求めます。

*TG400㎎/dl以下の場合

Friedewald(フリードワルド)の式

TC(総コレステロール)-HDL(善玉コレステロール)-TG(中性脂肪)/5=LDL(悪玉コレステロール)

脂質異常症の治療

食事療法

脂質の少ない主食の穀物類(ご飯、パンなど)には脂質が少ないのできちんと食べ、動物性脂肪を控えるようにしましょう。植物性蛋白、特に大豆食品は脂質改善に有用です。

魚の不飽和脂肪酸であるEPA(イコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、LDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあります。食物繊維にも、悪玉コレステロールを排出させる作用があります。

鶏卵、魚卵、内臓類、ウナギなどコレルテロールの多い食品は摂りすぎないように気をつけることが大切です。過食や過度の飲酒も中性脂肪を上げる原因になりますので注意が必要です。

運動療法

運動は有酸素運動、特に運動器官に無理のないウォーキング、アクアサイズ(水中運動)、バイク(固定式の自転車こぎ)などがおすすめで、有酸素運動を毎日30分以上続けると効果的です。このような運動には中性脂肪を下げ、HDL(善玉)コレステロールを改善する効果があります。

薬物治療

生活習慣の改善でも十分な効果のない場合、遺伝的要因の関与が考えられる場合は薬物治療の適応となります。薬物治療は継続して内服することが大切です。

LDL(悪玉)コレステロールの改善には、スタチン製剤(HMG-CoA阻害剤)が第一選択となります。多くの場合速やかに改善がみられます。中性脂肪の改善にはフィブラート系製剤が有用です。両者の併用は副作用のリスクが高くなることがあり、注意が必要です。 EPA製剤・DHA製剤も用いられます。内服開始後は、定期的な血液検査を行いましょう。