認知症

初期症状の時点で治療を開始することが大切です

認知症は早期に治療を始めることで進行を遅らせることができます。また、認知症の症状だと思っていたけれど他の疾患が原因だったという場合もあります。心配な症状がありましたら、早めにご相談ください。

認知症と診断されたくないためか、受診をためらう方もいます。しかし、認知症は早く治療を始めた方が病気の進行が遅くなることがわかっています。

認知症が進んでしまってからあわてて治療を始めても、効果が小さくなる可能性もあります。早目に検査を受けて、治療を開始できるようにしましょう。

認知症の初期症状

  • 物の置き忘れ、しまい忘れが増えた
  • 同じことを何度も話したり尋ねたりする
  • ごく最近の出来事も忘れてしまう
  • 親しい人の名前が出てこない
  • 趣味や家事をしなくなる
  • 同じものを買ってくる
  • 身だしなみに気を使わなくなった
  • 物忘れすることを認めない

この他にもがんこになる、興奮しやすい、暴力的になる、被害妄想、抑うつ、幻覚などの症状がみられることがあります。

認知症の検査

1認知症かどうか調べる

うつ病やせん妄(軽度の意識障害)など、認知症でなくても認知症に似た症状が現れることがあるため、問診や神経心理的検査によって認知症なのか他の疾患なのかを判断します。

2治せる認知症かどうかを調べる

脳内の出血や脳腫瘍、内分泌の病気などの影響により認知症の症状が出ている場合は原因を取り除くことで認知機能が良くなることがあります。血液検査やMRIなどの検査を行い治せる認知症なのかを判断します。

3認知症のタイプと重症度を調べる

認知症の診断が確定したあとは、治療法の選択のために、神経心理検査や画像検査やADLに関する質問票で認知症のタイプや重症度を検査します。認知症の診断が確定するまで、このような検査のために何度か通院が必要です。

認知症のタイプと治療法

アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多く、約6割を占めるとされています。脳の中にβアミロイドというたんぱく質が溜まり、神経細胞の働きが障害されるために起こると考えられています。

脳の神経細胞が障害されると、神経を通って情報を伝える物質が減少し、「記憶力低下」「周囲の状況を判断できない」「頭の中で言葉を整理し会話することが難しくなる」などの症状が徐々に進行します。

治療について

お薬は錠剤やゼリー剤の飲むタイプと貼付パッチ製剤があります。パッチ製剤は、患者さんが薬を使用しているか否かを周囲の人が目で確認できる、血液中の薬物濃度の変動が少なく安定した効果が期待できる、皮膚から吸収されるので食事の有無やタイミングに関係なく使用できるといったメリットがあります。

お薬によっては、吐き気などの消化器症状や、めまい、ふらつき、脈が遅くなるといった症状が現れたり、人によっては興奮しやすくなることがありますので、心配な症状が現れたら医師にご相談ください。

脳血管性認知症

脳血管障害(脳卒中など)によって脳の神経細胞が障害されて認知症が起きます。脳血管性認知症にアルツハイマー型認知症を併発することもあります。脳血管障害の発作を繰り返すたびに、病状が段階的に進行する傾向があります。

治療について

脳血管障害を再発しないよう、その危険因子である高血圧や糖尿病、脂質異常症などの治療を行います。

その他の認知症

脳の中にレビー小体が溜まる「レビー小体型認知症」も少なくないこともわかってきました。 幻視やパーキンソン症状が現れやすいのが特徴です。 アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症とともに「三大認知症」と言われます。

認知症の様な症状を現す疾患

頭の怪我で生じた脳内の出血が神経細胞にダメージを及ぼしているときや、脳腫瘍や内分泌の病気などの影響によって認知症が起こることがあります。この場合は手術などで原因を取り除くことで認知機能が改善することがあります。

その他治療について

がんこになる、興奮しやすい、暴力的になる、被害妄想、抑うつ、幻覚などの症状には適切な接し方が大事ですが、漢方薬や向精神薬などが使われることもあります。薬による治療以外にも、回想方、音楽療法、レクリエーション、アロマセラピーなどが治療に用いられます。

からだを動かし人と会話して笑ったりすることが大切で、認知症の改善に薬以上に効果的なことがあります。